私の目線の広告業界

広告会社に勤める若手広告マンの見ている世界.理想と現実のギャップを埋めるために活用ください,

目に見えないものの価値

お久しぶりです。

この記事は目に見えないものの価値というタイトルですが、
ここで言う「目に見えないもの」とは、
一例ですが、広告活動にまつわる以下のようなものを指します。


著作権
・デザイナーやイラストレーターの技術
・映像制作会社の制作技術
・ミキサー(音の調整)の技術
・カメラマンの技術
・ナレーターの声
・それらを作った時にかかる時間とその人たちの拘束時間




デザインなら明らかに目に見えるものじゃないかと思われる方もお見えかもしれませんが、
厳密に言うと、そのデザインを生み出すまでにかかった時間や労力に加えて
その人がそのレベルに達するまでの苦労や時間やお金という意味を含んでいます。


専門技術や他の人が簡単に出来ないことには相応の対価が払われるべきだと思うのが普通だと思いますが、
この仕事をして中でその常識がなかなか通じないということを痛感する毎日です。

日本人は一般的にサービスにお金を払わないということはよく言われていますしサービス慣れしているとも言われます。
その感覚を何故か専門技術のところにも適用してしまっているんですよね。


「えっこの絵を1つ描くだけでそんなにお金取るの!?」
「なんでキャラクター使用をするだけで年間500万円もするんですか?安く抑えたいんですけど」
「ちゃんとやらなくていいんで適当にやってスグに提出してください」
「そんなことにお金がかかるの!?」



こんな見当外れの言葉をクライアントに言われることが多いです。

ひとつの例として、たしかにイラストレーターさんは普通の人より絵を描くことに慣れているから
普通の人より苦労や時間をかけずにひとつの絵を完成できるかもしれません。
しかしそれはひとえにそのイラストレーターさんの今までかけた時間や苦労、専門学校や画材にかけたお金があってこそのものです。

たとえテキトーにラフを書いただけに見えたとしてもそこには
その人の蓄積してきた様々なものが切り売りされているということです。



そこをすっとばして話をされるクライアントを度々見かけます。

TVCMを作るときには、絵コンテといって4コマ漫画のような、ストーリーの流れがわかる資料を用意します。
TVCMの制作依頼を受けた時にクライアントに
「絵コンテはちゃんと書かなくていいんで!さっとラフな感じで書いたものを出してください」と言われました。

「さっと」なんて言われても簡単にできるものではないですし、お金をもらう以上は適当なものは作れない。
そもそも「 さっと」 書いただけでもその人が蓄積してきたものをアウトプットしてるので相応の対価をくださいね?という話です。

誰でもできるじゃんと思われがちなものでも、
見えないところに、(例えば色味をひとつとっても)それぞれの専門的な沢山のアイデアや工夫が詰まっているんですよね。


なので、自分でできるし!と言っていざ素人がやってみると本当にひどいものが出来上がると思います。(笑)


あとは「明日までに修正して!」ってやつ。校了前にだーーーっと修正依頼をしてさらに期間も決められるっていう…(笑)

デザイナーのことを人間ではなく機械と思ってるんじゃ?というクライアントはたくさんいます。(笑)


わたしたちも泣く泣くデザイナーに無理をさせてしまうんですけどね…お金は強い。
要するにお客様至上主義ということです。


でもそれは本当に正しいのか。


***


海外ですと技術とお金の等価交換という概念で、職人をないがしろにすることはないようですね。
お給料も日本のように手取りで月に12万なんてことはないようです。


クライアントの知識不足でこうなるということもありますが、

・サービス(目に見えないもの)にお金を払わない文化
・お客様至上主義

この2つがなくならない限り、佐藤可士和さんくらい有名にならないとクリエイターとしては生きていくのがきつそうです。
(ディレクション、つまり作業を監督する管理職になれば話は別ですが)


私の会社のクリエイターたちも明らかに給料以上の働きをさせられています。どんどん納期だけ短くされて…値段は下げろと言われ続ける。

ものを作る現場ではこんな胸が痛くなるようなことが多いです。

私達のやってることってこんなに価値がないの?とクリエイターが以前に言っていました…

そしてうちが値下げをさせられるということは、印刷所やデザイン会社などの協力会社にしわ寄せが行くってことなのでそっちも少ない報酬で実務をさせられまくるわけなのでもっと悲惨です。


わたしも業務とは関係なくコーディングやデザインの勉強をしていますが、
思っていたよりもずっと習得が難しい。こんなに勉強をしたことを無下にするのは許せないと思います。


なので私はできる限り自分のマージンは抑えて印刷所には多くお金を払ってあげたいなと思っています。


いつか日本でもクリエイターや技術職が大切にされる日が来るといいなといつも思っています。